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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂



ガタンッ!!





部屋に入るなり、よろけて真横の鏡台にぶつかる



「……ハァッ」



息苦しさに何処ともなく睨みつけると、目に入るのは自分の顔。

脂汗が額だけでなく首筋にまで滲んでいる

ケチュア人特有の褐色肌の為に分かりにくいが、顔色はリリアの言う通り良くはない

それでいて身体は燃えるように熱いような、吹雪に帰ったように寒いような–––



「おか、しい……」



風邪でもひいたか?

今更?



「……ア…ッ」



鏡の中の自分–––

目の下に現れた隈をなぞるように指を這わせたところで、ミゲルは苦しげな声を上げた

痛みに身体が固くなる



「…ハァ……ハァ…ッ」



鋭い痛みが体内を駆け巡ると、それは消えても鈍痛は残る

ミゲルはゆっくりと慎重に身体の力を抜いていった



“こんな…ところで……”



へばっている場合ではない


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