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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「どうしました!?」
戻ってくるなりただならぬ空気を感じたのか、焦った声を上げたのはルチアーノ–––
「…っ!」
彼はミゲルを目にした瞬間、レオンと同じように顔色を失くした
「……ゥアッ」
仰向けたミゲルの身体を引き寄せると、腕の傷口に指を当てその血の匂いを嗅ぐ
–––甘い
「あいつら…っ……ここまでして…!」
「やはり毒か?」
レオンの問い掛けに、リリアがハッと息を呑む
「レオン様、これは……っ」
言いかけてルチアーノは口を噤んだ
チラリと横目でミゲルを見る
「……ッ…ハ、ァ」
聞こえていないのか、彼は何の反応も示さない
それでもなお身体の異変に抗おうとしているのは確かだった
「……なんだ」
「…いえ……それよりまずミゲルを運びましょう」
耳元に顔を寄せ
立てるか?
と尋ねればようやく微かに頷くミゲル。