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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「…ハッ……レオン…ッ……よく、聞け」
“最後の力を振り絞る”ようなミゲルの声に、レオンの身体はまたカッと熱くなった
「…っ……後で聞く。今は休め」
これ以上見ていられなくて–––いや、見られたくなくてレオンはその場を離れようとする
「…おいっ……」
だがその力はどこから来るのか、ミゲルの手は彼を離そうとしなかった
「いまだっ」
怒鳴っても掠れる声に振り向かされる
そこには今まで見たことのない、懇願するようなミゲルの眸があった
「…今……聞いてくれ……」
「……なんだ」
本当は聞きたくない
(本当は伝えたくない)
でも、聞かなければ。
(でも、伝えなければ。)
「…ずっと…お前に言えなかった、ことが…ある……」
ありがとうだとか
幸せになれだとか
そんな言葉で締め括れる人生ならどれほど良かったか