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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「…ファルツ、に…気を つけろ……っ」
「……」
今何と言った?
聞き間違いだろうか?
「ミゲル……!」
その手から力が抜け、ズルリと床に向かって落ちる
“ファルツに……”
ファルツに
気を つけろ ??
ファルツに気をつけろ?
「レオン様、私は解毒剤を取りに行きます」
「…どこに……」
「今ミゲルの口から聞いたでしょう。ファルツです。
ロンブローゾ医師のところに」
ファルツに?
ファルツが?
「嘘だっ!」
レオンは叫ぶや否や、気を失ったミゲルに掴みかからんとした
どうせまた
リリアに溺れる自分を戒めようとしたのだろう
冗談にしてもタチが悪すぎる
「…赦さない……っ」
「レオン様!」
すんでのところで、ルチアーノが彼の両腕を押さえる
「落ち着いて下さい!」
「これが落ち着いていられるか!」