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果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
「耐えるんです! ミゲルは耐えました!」
「……っ!」
ファルツ家がその次男であるレオンを狙ってきた
それの意味するところは–––
“そ、んな……”
「兄上……」
フェリペの最期の姿が脳裏を過ぎり、レオンの拳が強く握られる
「…ミゲルは、耐えました」
知っていたのか
–––知って、いたんだな
‘ずっとお前に言えなかったことがある’
知っていて尚こんな–––こんな想いに耐えていたというのか?
熱い–––苦しい
まるで目の前のミゲルに同期したかのように
口を開けば吐き出してしまいそうなほどの憎しみ。
「……」
力が抜けるのを感じてルチアーノがそっと手を離すと、レオンはそのまま床に座り込んでしまった
リリアが駆け寄って彼の傍に寄り添うが、反応はほとんどない