この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第44章 守られた魂
こんなものを
お前は四年間も抱えて生きてきたのか
私にさえ
悟らせることもなく。
私のために–––
どういうこと?
つまり
レオンを狙ったのはファルツ家で
兄のフェリペを殺したのもファルツ家で
ミゲルはそれを知っていて–––
唯一はっきりしていることは
彼が目の前で苦しんでいること。
「……っ」
膝をついたレオンの放心した顔。
その冷たい頬に触れながら、リリアは悟った
今
誰にも入り込めなかった彼らの世界が
終わろうとしているのだと–––
「リリア様」
「……え?」
ルチアーノに名前を呼ばれリリアはゆっくりと振り返った
彼女自身、この状況についていけていないのだ
「大丈夫ですか?」
「…ええ……」
そんなはずはないのだが、レオンを前にして自分までもが狼狽えるわけにはいかない