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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
初めて疑問を持ったのは、その時–––
“同じように虐げられている俺たちと彼女たちと、一体何が違う?”
と。
母がどうやって生き延びてきたか俺は知らない
それでもいつも言う言葉の端々に諦めを感じていたんだろう
俺も自分の力で己の道を切り開きたい
「……」
そんな想いが俺の中にはっきりと芽生えた–––わけではない
ただ悶々とした気持ちを抱え俺はその場に座っていた
「……お腹、すいてるの?」
「……」
痩せ細った餓鬼が茫然と座り込んでいて、そう思わない方がおかしい
俺は自分より若干年上に見えるその女の子を見上げた
「……うん」
陽の光が眩しくてその顔はよく見えないが、先ほどまでそこで踊っていた異邦人だとすぐに分かった
「これ…あげる。あたしは姉さんたちに分けてもらうから」
でも、なんて躊躇いの言葉は出なかった