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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
「……!?」
だが掴まれたのは俺の方だった
「うわっ!」
腕を支点にして半回転させられ、頭の上に地面が見える
「正面からでは勝てないと踏んで後ろに回ったか……悪くない手だ」
「……っ」
淡々と説明されて腹が立つ
”全部…読まれてたのかよ……”
「だが気配ですぐに分かるし、結局直線的に取りに来たんじゃ意味がない」
宙吊りになった俺を見てまた耳障りな笑いが巻き起こる
「…くっそ……」
俺はここに来て初めて、生温かいものが溢れ出すのを感じた
逆さになっているからそれは頬ではなく額の方へと流れていく
俺はこんなにも弱いのか
自分では何も出来ないのか
抗えないのか
「……てけよ」
「うん?」
「連れてけよ! 俺を!」
気が付けばそう叫んでいた