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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
「ただがむしゃらに向かっていくだけじゃ勝てないこともある。敵と己の力を見極めて行動するのが重要だ」
それをお前は、とため息を吐かれる
「あまり感情的になるな。
子供に言うことじゃないが」
降ろされても地面を見続ける俺に構わずルチアーノは片付けを再開した
「ね、フェリペ様?」
「えっ?」
サッと顔を上げれば、ルチアーノの後ろにはいつもの優しい笑顔を浮かべる主人の姿が。
”いつの間に……”
俺は本当に感情的になっていたらしい
「ミゲル」
俺は誰にでも分け隔てなく接してくれるこの人が好きだった
だからこそ、強くなりたいと思う
「いつも頑張っているね」
手を差し出されるが恐れ多くて触れられない
「…大丈夫です……」
立ち上がり体についた土を払う
「……無理はしないで」
その言葉に顔をしかめてフェリペ様を見る