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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
貴方のためにやっているのだと、そう言いたかった
「護衛の仕事は護ることだ。倒すことじゃないんだよ」
「……?」
その言葉は
まだ子供の俺にはよく分からなかった–––
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いくつかの季節が過ぎ
俺は時折フェリペ様に付いて出掛けるようになった
久々に外に出て気が付いたことがある
いや、思い出したと言うべきか
自分が他の人間とは違うということを–––
”この街の人々は良くしてくれるが……”
ひとたび外交の場に出れば、上から下まで舐めるように見られる
軽蔑の眼差しだけで済んでいるのは、ただ一重にファルツ家の威光だろう
”俺は…邪魔になってはいないだろうか……”
こんな自分が側にいることで、フェリペ様の評判を下げているのではないか