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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
その日の仕事を終え中庭で夜空を見上げながらそんなことを考えていた
満点の星空は、孤児院で見ていた頃と何も変わらない–––
「そこで何してる」
近づいてきていた足音の主を知り、俺は慌てて座っていた石段から飛び降りた
「レオン様」
恭しく頭を下げるが、向こうがそれで不快感を示したのを感じる
この人は–––苦手だ
何を考えているのか分からない
弟のジェーニオ様は、幼いながらも明らかな嫌悪感があるからまだいい
だが彼が俺に向けるのは嫌悪感というより–––
「……心にもない行動をするな」
敵意。
「……」
「取り繕った態度は嫌いだ。一方では媚びを売り陰では嗤う……あの女みたいに」
“あの女……カタリナ様のことか”
レオン様は–––歳の問題もあるだろうが–––フェリペ様よりもはっきりと物を言う
一切の迷いなく。