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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
だが俺に対する態度だけは分からない
“まぁそれでも所詮……”
異人種の俺に興味があるだけだろう
取り繕った態度が嫌いなら
「では、私はこれで失礼します」
関わらないに限る
「……待て」
そのまま立ち去ろうとした俺を、レオン様は何故か呼び止めた
「何か落ちたぞ……カメオ?」
「…っ……!」
それはさっき俺が飛び降りた時に溢れ出たものらしかった
母から託されたそれを、俺は–––
「処分して下さい」
もはや見るのも忌まわしくなっていた
それでもなかなか手放せなかったのだが、これはいい機会だ
「……? 何故だ?
この女、お前の母親ではないのか?」
「……」
未だに母の面影に縋っている–––それが恥ずかしいというだけではない
「私にはケチュア人の母親などいません!」