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果てのない海に呑まれて
第2章 追い討ち
「だが本当に良かったのか? これから三日は女を抱けないぞ」
「私はお前ほど堪え性のない男ではない」
男たちは話しながら一つの船の前で立ち止まる
船尾に薔薇の紋章が施された大きな影を見上げ、レオンは顔を引き締めた
「ミゲル、お前は船に傷がないか調べろ」
「ああ」
「他の奴は積み荷に不備がないか確認して、問題がなければすぐ出発だ」
「へいっ!」
男たちは次々に船へと乗り込んでゆく
ミゲルは船から垂れた長いロープを手に取ると、それに掴まって舷側を歩き出した
「レオン、問題ない」
「そうか」
確認を終えて甲板に上がり、海を眺めていたレオンにそう報告する
「飽きないな、お前も」
レオンの視線を辿ってミゲルも同じ景色に目を向けた
昇ってくる太陽をキラキラと反射する海面と、その光がさらに霧に屈折して幻想的な風景を創り出している
「ああ、いつ見ても綺麗だ……」
レオンは目を細めてその景色に息を吐いた
「ヴィークは朝が最も美しい。特にこのシエラの港はな」
そして後ろを振り向き、静かな街にため息をつく
「昨日のことさえなければもっと良い気持ちで見られるんだが……」