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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々
対するレオンは笑顔も見せずに上から男を見下ろしている
"兄弟……全然似てないけど"
リリアは思わずじっと二人を見比べていた
美しい顔に嫌な笑みを浮かべた弟の第一印象はあまりに受け入れがたいものだった
「それにしても」
彼に嫌悪感を抱いていたところへ急に此方を向かれて一瞬焦るリリア
「兄上が金髪の女を連れ帰ってくるとは。父上の真似事ですか?」
「口を慎め、ジェーン」
「…その呼び方はやめてくださいと言っているのに……」
兄の冷たい言葉に"ジェーン"は首を擦りながらため息をついた
「まあいいですが」
そして改めてリリアを見る
今度は上から下までじっくり眺められ、リリアは思わず体を固くした
最後に彼女の顔にしばらく視線を置きーーー男は何かを思い出したように軽く笑った
"……?"
その失礼な態度にリリアの顔が険しくなるが、相手はそんなことお構いなしに再び兄に話し掛ける
「で、どこの女なんです?」
「シエラの港で拾った。孤児だそうだ」
レオンは先ほどと同じようにすらすらと嘘をつく
「へぇ、それはまたお優しいことで。
卑しい人間に高価な服を与え飼い慣らす……どこかの誰かさんそっくりだ」