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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
父親が母に溺れていた時に作らせたらしい母の姿は、俺の卑しさをただ際立たせていた
「だが今まで大切に持っていたのでは……」
「忘れていただけです!」
本当に、忘れ去りたかった
物乞いしていた惨めな記憶
虐げられる絶対的なワケ
“恨まないで、だって……?”
勝手に産んで幸せになって、自分の都合で捨てた癖に。
「……」
黙り込んだ俺を、レオン様は何も言わずに見つめた
「何がそんなに嫌なのだ!」
そして突然怒鳴り立てる
俺は驚いて思わず後退りした
「カメオとはいえこんなにも優しげな母に会えるというのに!」
「……!」
実の母親のことを言っているのか
シャルロット様のカタリナ様への敵対心は、二人の子供にも容赦なく影響していた
だがそんなことは関係ない
「あなたには分かりませんよ……」
俺は立場も忘れて言い返していた