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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
戸惑う俺を見て、彼の眸に笑みが浮かんだ
「ならそれでいい」
勝手に満足して去ろうとする–––
「レオン様!」
その背中に、ついその名が口をついて出た
「……なんだ」
レオン様がめんどくさそうに振り向く
「あ、いえ…何でもありません……」
何故呼び止めたのか、自分にも分からない
「用がないなら呼ぶな」
「はい…すみません……」
ぶっきらぼうには変わりない
その理由もまだ分からない
だが少なくとも、それは“俺自身”に向けられたものだ
この人は、違う–––
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そう思う相手が、もう一人いた
「……あの」
「なぁに?」
俺は彼女に気付かれないよう小さくため息をついた