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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
性欲だとか、そんな厭らしいものじゃない
ただその艶やかな金髪に触れられたら
時に
兄たちに構ってもらえずに寂しげな貴女を抱き締め
慰めてあげられたら
そう思っていた
「……フローラ様?」
急に立ち止まった彼女に俺は首を傾げた
「あ……ううん、何でもないの。ごめんなさい」
いつでも真っ直ぐに見てくれる碧い瞳は、俺の心を捕らえて離さない
いつも見ているからこそ分かる–––
「ご気分が優れませんか?」
「そんなこと……っ」
案の定ふらついた身体を抱き止め、額に手を当てる
“……”
心配しているのに、触れることの許されるこの瞬間が永遠に続けばいいとも願ってしまう
「帰りましょう」
「……嫌よ」
「……」
その自由さが、俺を惹きつける
ここで貴女を拐えるほど、俺は自由ではないから–––