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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
それでも俺は自ら縛られることを選んだ
あの日を境に、その縄はさらに強く俺に絡みついた
「お前は今日からレオン様の側付きだ」
「……分かった」
従者頭の言葉を受け、レオンの部屋に向かったのが真夜中過ぎ–––
フェリペ様が見ることのなかった満月が煌々と廊下を照らしている
「……あの子は当主に相応しくありません!」
たまたま通り過ぎた部屋から叫び声が聞こえ、俺はピタリと足を止めた
カタリナ様の喚きなど既に日常茶飯事で、普段なら気にすることもない
あの時そうしなかったのは、やはり何か運命的なものがあったのだろう
「レオンは誰が見ても次期当主だと認めるだろう。歳の順を考えてもジェーニオは……」
続くベルナルド様の声。
ああ、やはりレオンは海から引き離されるのか–––
「……大学は。ジェーニオなら今から行けます。
今まで船で海賊ごっこをしていた子に教養があるとお思い?」