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果てのない海に呑まれて
第45章 全てお前の為
「……」
ベルナルド様が沈黙する間、俺も悔しさに心で舌打ちしていた
俺やフェリペ様に煩いほど付きまとい、大学で学んだことや多くの知識を吸収するアイツを、よくも簡単にそんな風に–––。
「……それとも、レオンも殺せば満足ですか」
「…な、に……っ!?」
全く同じ言葉を、危うく俺も発してしまうところだった
「殺す…だと……お前…お前は……っ」
「あら今頃お気づき?」
カタリナは嫡男殺害を悪怯れるどころか高笑いしてみせた
「ウェッツェル家と姻戚関係になっておいて、その後ろ盾に縋っている癖に私たちを蔑ろにするあなたが悪いんです」
ここまでしても自分たちを切れないだろうという、絶対的な自信が扉の隙間からすら漏れ出てくる
「……っ」
分かったらレオンをこの家から引き離せと、主人〈アルジ〉を殺した憎らしい女の声を聞きながら、俺の手は自然と腰に伸びていた