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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
自分が–––そう思っていたはずなのに、いつのまにか彼を頼っていたことにリリアは恥ずかしくなった
“大丈夫……”
レオンが口にするようには言えない
それでも伝えるように強く抱き締める
「……大丈夫だ」
–––?
心の言葉が耳に届いて、リリアの腕が緩んだ
「……大丈夫だ」
その隙間から、レオンが顔を上げ笑う
そこに弱々しい表情は読み取れなかった
「クックッ……なんて顔してる」
「なん…っ……で…!」
怒鳴ろうとして言葉が詰まる
反対に目からは大きな雫が零れてレオンの頬を濡らした
自分の為じゃない–––彼の為に泣いているのだ