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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「でもまた眠ってしまったわ……」
「一度意識を取り戻したのならもう大丈夫です。さすがの生命力ですな……」
ロンブローゾ氏の言葉にレオンはようやく深く息を吐いた
一気に膝の力が抜け壁に保たれる
「……」
改めて冷静になれば、その額も手もミゲルと同じくらいに濡れていた
「もういい……」
念のため脈などの状態を再確認する医師に、レオンはボソリと告げた
「しかし……」
「ミゲルは大丈夫なのだろう?」
「……はい」
「これまでの話からお前は単に利用されたということが分かった。もう戻っていい。後はルチアーノから聞く」
お咎めがないことに医師は心底驚いたようだった
普段冷静な彼だからこそ–––本当に大切なものを奪われればただでは済まないと思っていた
「レオン様」
「……なんだ」
一杯の水を飲みながらレオンは顔を顰めた
まだ何かあるのかとでも言いたげだ