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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「成長されましたな」
「……」
ますます眉間に皺が寄る
自分に無頓着なところは変わらない、か–––
「……では、失礼します」
ロンブローゾ氏が頭を下げると、ルチアーノも去ろうとする彼に続く
「待てルチアーノ、どこへ行く気だ」
「……?
医師が貴方が生きているとファルツに報告しては終わりです。彼を見張るべきかと思ったのですが……」
「いい。必要ない」
お前は此処に残れと命じ、レオンは最後に医師に目を向ける
「お前はそんなことはしない……そうだな?」
「……っ」
もちろんそのような気はハナからなかった
だがその真っ直ぐな眸で見つめられれば、その気があっても打ち消されてしまうだろう
“カタリナ様が警戒した訳が分かるわい”
ジェーニオも、そして兄のフェリペにもなかった魅力
人を惹きつけてやまない魅力
確かに、彼の為なら無条件に死ねるだろう–––