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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「どうして貴方は……貴方たちはいつもそう素直じゃないのよ!」
さよならだとか
大丈夫だとか
本当はそんなこと
カケラも思ってないくせに
「ミゲル、貴方はそうやって反対のことばかり…嘘ばかり……」
時々寂しげに見えたのは、やはり気のせいではなかった
今だって、まだ額に汗を滲ませながら顔だけで笑ってる
ここで言わなかったら、また後悔するから–––
「もっと自分を…自分の心を大切にしてよ……傷ついたまま…人を護ろうとなんてしないで……っ」
最後はやっぱり堪え切れなくて、勝手にしゃくり上げる喉に言葉が詰まる
「……ハァ」
返ってきたのは吐息
心配性だなと呆れているのか
いや–––
単に共感の間を埋めただけかもしれない
どちらにせよ、ミゲルは彼女の言葉を咎めることなく続けた