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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る



「確かに……レオンがお前を突き放した時、俺はお前と同じようなことを思った。心を押し殺すなんて何を馬鹿なことを、と。

だが俺にはお前を手離そうとした奴の想いもよく分かる。

心が満たされないのは死より辛いかもしれない……だが生きていなければ心が満たされることもない。死んでしまえば全てが無意味だ。

だから俺も…あいつが苦しんでも護ることを決めた。俺にはそれしか出来なかった……」



大切な人々を喪い、海への純粋な想いまで奪われたあいつを、心まで守ってやる術は持っていなかった

まして己の心など–––



「…やっと、だったんだ……」

「ミゲル……? 苦しいの?」



目を閉じて声を震わせたミゲルの顔を、リリアは不安げに覗き込んだ

対して彼は首を振り、受け取ったまま忘れていた水を一気に飲み干した



“やっと、あいつが心のままに動くことを赦してやれた……リリア、お前がいたから”


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