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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「……」
真っ直ぐに見つめられ、ミゲルは視線を外すしかなかった
あまりにもレオンと同じだったから–––。
「ああ、分かっている……」
朦朧とする意識の中でもあいつの取り乱す姿だけははっきりと映っていた
驚いた
俺自身の為にあれほど訴えてくるあいつに。
そしてもうあいつを見ることもないのかと悟った時、そこに寂しさを覚えた自分に。
「それでも俺は辛くない。心を守れというのなら、俺の役目だけは奪わないでくれ」
「……」
リリアは頷く
自分の命よりも護るべきものを護るのが彼の幸せなら、もう何を言うことも出来ない
「ただ……」
「……?」
「ただ、レオンは違う」
あいつの大丈夫は違うのだと、ミゲルは今度こそ呆れ顔になった
「あれは……相手に言っているようで自分に言っているだけだ」
あれこそまさに強がりだ