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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「お前を救うことであいつも救われている」
いや、リリアの時だけじゃない
「俺の時も……」
また過去を振り返るように遠くを見るミゲル
「……っ」
その時、彼の体がグラリと傾いだ
「ミゲル!」
「大袈裟な……少し目眩がしただけだ」
あれだけ瀉血を繰り返したのだから当然だ
「早く横になって!」
「分かったから……耳元で騒ぐな……」
あまりにもうるさくするものだから、ミゲルも素直に体を倒す
渋々–––という顔をしつつも、内心には不思議な感覚が広がっていた
人の気持ちに入り込む喜びが–––
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「邸に入り込む!?」
ルチアーノは大きな声を上げ慌てて語尾を抑えた
「ご自身の立場がお判りですか?」