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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る



改めて声を落ち着かせると、真面目な顔をして冗談を言うレオンを悟す



「分かっている。だがどうしても行かなければ」

「……」



否、本気も本気、大真面目らしい

その証拠に、その眸はいつものように従うことを当然とせず–––願っていた



「ファルツはまだ貴方の暗殺が失敗したことを知らない……でも刺客が戻らなければ必ず気付きます。だから逃げるとしたら今しかない」

「だから入り込むとすれば今しかないのだろう」

「……」



こうなっては何を言っても無駄だ

分かってはいても、なお食い下がらずにはいられなかった



「貴方の暗殺の詳細を私は知らなかった。父の次にご当主に近いはずの私が、なんの相談も受けなかった」

「お前が刺客を連れて来たのではないと、その言葉を疑うつもりはない」

「では尚のこと分かるでしょう。貴方が留守にしていた間に、ウェッツェル家の方々の権力が更に増したことを」


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