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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々
「さっきから言おうと思っていたんだけど、私を孤児って紹介するのやめてもらえない?
それとも、ギスタールの人間だと知られることに不都合な何かが貴方にあるのかしら?」
「……さぁな」
「はぐらかさないで……」
「その辺にしておけ」
ずっと口をつぐんでいたミゲルが冷ややかに割って入る
「死にたくなきゃな」
脅されて何も言えなくなるリリア
「お前もこんなところで油売ってないで、さっさとベルナルド様に挨拶に行ったらどうなんだ?」
「……言われるまでもない」
ミゲルの説教じみた発言に腹立たしげな表情を浮かべながらリリアにちらりと目をやった
そして仕方ないとため息をつく
「では後のことは任せた」
そう言い残して自分もその場を後にした
「さっさと来い」
それを見届けるとミゲルはそれだけ言って歩き出した
「……」
重苦しい沈黙が流れる
先ほどまで感じていた数人の人の気配もレオンと共に消え、リリアは本当にこの冷たい男と二人きりだった
「……あの」
ついに耐えられなくなり、リリアは勇気を振り絞ってミゲルに話し掛けた