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果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々



「なんだ」



"あ、普通に答えてくれるのね……"



「今から行く部屋……あの人の妹さんが使っているんでしょう?」

「使っているじゃない。使っていたんだ」

「え?」



人に与えるのだからそれも当たり前なのだが、リリアは思わず聞き返していた



「レオンの妹御であるフローラ様は二年前に病気で亡くなっている」

「……!」



リリアの顔が一気に曇る

突然の重い話にどう反応したらいいものか



"それに……"



「ああ、今更その部屋を使ったからといって感染ったりはしないから安心しろ」



ミゲルはリリアの様子を見て付け加えた



「違うわよ……」



だがリリアの懸念は全く別のところにあった



「じゃあなんだ」

「そんな……亡くなった人の部屋をあてがうなんて、あの人はどこまで私を貶めれば気が済むの……!」



言葉が震える

感情の矛先を向けるべき相手がいないのが余計にリリアを怒らせていた



「……貶める、か。

そういうつもりで言ったのではないと思うがな」



"……?"



ミゲルは誰に言うでもなく呟くと、一つの扉の前で立ち止まった


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