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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「……」
目の前の状況に唖然としレオンは扉を開けた状態のまま固まる
「…ッ……ああ、レオン」
ようやく気付いたのか、ミゲルが笑ったまま入り口の方に目をやった
「……随分元気そうだな」
つかつかと歩み寄ると、リリアとの間にずいっと入り込む
「……?」
その強引さにリリアは少し驚いた顔をした
“……”
この、不快感
今まで何度か感じてきたこの気持ちが何なのか、やっと分かった
ミゲルが側にいることを当然と思っていた時には気付かなかったこの感情–––
嫉妬だ。
自分の分身としていたからこそ知らなかった
喪う可能性のある他者として認識して初めて–––
“お前にリリアは渡さない”
危機感を覚えた
「……レオン? どうかしたのか?」
「…別に何もない」
レオンは乱暴にそこにあった椅子を引き寄せると、勢いよく座り込んだ