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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る



「私は今夜、ファルツ家に向かうことにした」

「えっ?」



リリアは自分の耳を疑った

正気の沙汰じゃない



だが–––



「…どうしても、だな?」



真っ先にどやしつけそうなミゲルが、ただ一言そう訊いた

この落ち着きはレオン本人ですら予想していなかったことだが–––



「ああ」



同じように表情を変えることなく答えてみせる



「分かった。なら今すぐ支度しよう」

「……は?」



平然と済ませてやるつもりが、駄目だった

ミゲルの発言に勝手に目が丸くなる



「何を驚いている。お前が行くなら俺も行くに決まっているだろう」

「おま…っ……その体で何が出来るというんだ!」



怒鳴られてもミゲルは肩を竦めるばかり。



「別にもう何ともない」

「嘘よ! さっきも目眩がするって……」



同じことを繰り返すミゲルをリリアも懸命に止めようと告げ口する


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