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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る



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それから僅か数分後のこと–––



「そこの少年」



武装した厳しい顔の男たちが、馬上から通り掛かった者に問い掛けていた



「……何でしょう?」



平民に話し掛ける、明らかに貴族の使いだろう彼らを少年は帽子の奥から訝しげに見返した



「この辺りで怪しげな二人組を見なかったか?」

「……さぁ。そんな奴らはどこにでもいる」

「金髪の女を連れているはずだ」



少年は一瞬肩を竦めて見せてから、何かを思い出したように



「……あ」



と声を出した



「なんだ。何か思い出したか」

「だいぶ前に港の方に……三人じゃなくて四人だったけど…たしか金髪の女の人もいた」

「港……どっちの方向だ」



少年は教会に背を向け真っ直ぐ前に伸びる道を指差す



「よし、急ぐぞ。船に乗られては面倒だからな。

少年、これはささやかな礼だ。受け取れ」


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