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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
その声は兄と同じ威厳を持って兄を制圧する
「……ああ」
たったそれだけを残し、レオンは弟と永遠の別れを迎えた–––
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コトを起こした本人は良いかもしれないが、待たされる方はたまったものではない
「まぁ……今に始まったことじゃないが」
ミゲルは呟きながら空を見上げる
月が明るすぎるのは、我々には不利か
「…っ……誰だ」
背後の気配にミゲルはさっと身構える
まだ振り向きはしない
「……」
相手の人数、呼吸の浅さ
全ての感覚を研ぎ澄ませて様子を窺う
「……ニノ?」
まだ幼い気配にミゲルはそう問い掛けた
「ミゲル……様」
敬称の抜けないその呼び方は確かにニノだ
ミゲルはため息をついて後ろを振り向いた
「なんだ」
「……」