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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
お互い姿は見えるのに、それ以上近付こうとはしない
ニノも何故か押し黙ったままだった
「知らせに行くなら俺が気付く前にするべきだったな」
「……っ」
突き放すように言われニノは思わずカッとなっていた
「オレがあなたを売るなんて!
オレはあなたを……あなた、を……」
「……ああ…分かっている……」
ミゲルは月に視線を戻しため息を吐いた
“やはり連れ帰るべきではなかった”
乞食や盗人としての生活からは救い出してやれた
俺が屋敷にいる間は、ファルツに深入りしないよう牽制することも出来た
“だがもう…責任を持てない……”
例えばニノがここで見逃したとして、それを後で咎められれば俺はこいつを護れない
だからといって–––
「ここから……出て行くんでしょう?
オレも連れて行ってください!」
駄目だ
「俺たちは追われる身になる。来れば命の保証はない」