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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「それでもいい。あなたと一緒に行けるなら」
その眸は一年前とは比べ物にならないほど力強くなっていて。
“慕われるというのも大変だな……レオン”
だからこそその命を無駄に散らせるわけにはいかない
「駄目だ。お前が来ても足手まといになるだけだ」
「……またそれですか」
怒りに震えるその声は、馬鹿にされているからではなく彼が本心を露わしてくれないことを知っているから。
「お前のことはルチアーノに頼んでおいてやる。前にも言った通り、生きる術を身に付けたらこの邸を出て行くんだ」
「嫌です」
これは–––引きそうにないな。
“どうしたものか……”
不器用なミゲルの頭には、多少手荒な方法しか浮かばない
「我の強い奴を三人も連れて歩けるか……お前はここにいるんだ」
「いやで……っ」
ミゲルがゆっくりと近付くと、只ならぬ気配にニノは身を竦ませた