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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「あまり教えてやれなかったが、これで最後だからな……護身術の一つだ。覚えておけ」
首に強い衝激が走ったかと思うと、ニノの目が霞み–––
トサッ
そのままミゲルの腕の中へと倒れ込んだ
「……悪く思うな…ニノ」
そのまま彼を風の当たらない小屋の隅に寝かせると、小さく頭を撫でてまた主人を待った–––
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ジェーニオと別れすぐに外へ向かったレオンだったが、思わぬ障害に出くわして足を止めていた
陰に身を潜め、じっと相手の様子を窺う
「……」
中庭に面したその廊下の途中で、母はただその薄い眸を空に向け座っていた
滅多に部屋から出ないシャルロットだが、満月の夜にはこうして風に当たりに来ることもある
そう聞いてはいた
“満月の…夜……”
それは兄フェリペが命を落とした日
だが–––