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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
「うそよ!」
邸中に響き渡るような甲高い声に、レオンは肩をビクリと震わせた
「冗談でも言って良いことと悪いことがあります!
あの子が死んだなどと……」
シャルロットはレオンの眸を見て、その茫然とする様子に言葉を切った
「……ほんとう、なの?」
「……」
「答えなさい、フェリペ!」
「…は、はい……母上。
航海中に嵐に遭って……船…諸共……」
興奮に立ち上がっていたシャルロットから力が抜け、膝が強く床を打つ
レオンにはそれを抱き止める余裕もなかった
「だから…言ったのに……っ……船なんてと……!
それでもあの子が望むことなら…叶えてやりたかった……だ から…っ…」
息子の眸に映る、あの煌めく光が好きだった
フェリペにもそれを喪わせないで欲しいと言われた
だから不安を抑え、何も言うまいと–––。
「無理にでもやめさせていれば良かった……っ!」