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果てのない海に呑まれて
第46章 得れば失う、失えば得る
シャルロットの心に、どうしようもない後悔が広がる
そして息子の心にも–––
“…そう か……”
幼い頃、本当に嵐に遭って死にかけた
それを知った母は自分を強く責め、船乗りの真似事などやめろと迫った
理解のない母が嫌だった
子を敵に対する道具としてしか見ていないと思っていた
縛られていると、感じていた
それは全て–––
「ああぁぁぁ……レオン…レオン……」
子を愛するが故だったのだと、今 思い知った
「母上……」
そっと–––壊さないようそっと、母の肩に身を寄せる
「フェリペ…私は酷い母親でした……あの子にただの一言も、愛していると伝えなかった……!」
「いいえ…いいえ、母上……」
伝わっています–––
強く母を抱き締める
この人はこんなに小さかっただろうか–––
「ぁ…レオン……」
耳元で囁かれた名前に、違うと分かっていても反応してしまう