この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
果てのない海に呑まれて
第7章 ファルツ家の人々
リリアは少し違和感を覚えながらも、何故レオンが自分に執着しているのか何となく納得がいった
「分かったら文句は言わずこの部屋を使うことだな。
後で湯を運ばせるから軽く浸かって体を洗え。それが済んだら食事だ」
「……お腹すいてない」
俯くリリアの言葉にミゲルは面倒臭そうにため息をつく
「スープを運ばせるからそれだけでも飲め。お前に何もやらなかったと言ったらレオンに文句を言われるからな」
絶対だ、とミゲルは念を押して部屋を出て行った
しばらくして二人の女性が入浴用のたらいとお湯を持ってきた
「お熱くありませんか?」
服を脱ぎ湯に浸かるリリアに使用人の女性が尋ねる
「ええ、ちょうど良いわ」
髪を洗ったりされながらリリアはぼうっと遠くを見つめる
こうしているとシエラにある自分の屋敷と何ら変わりない
つい四日ほど前まで、こんな生活がずっと続くと思っていたのにーーー
「……っ」
今までのことを思い出すときりがなくなり、リリアは膝を引き寄せ顔を埋めた
不意に肩を震わせ泣き出した彼女に使用人は驚いて顔を見合わせる