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果てのない海に呑まれて
第47章 思い知れこの愛を
リリアは敵を欺く為、自慢にしていたその長い髪まで自ら切り落としたのだ
「私のために……」
「……? 何を言っているの?」
リリアが怒ったように顔を上げた
「まさか私が、貴方のために怖い思いをしてまで体を張ったとでも、思っているの?」
「違う……のか?」
「思い上がりだわ!……いいえ、過小評価かしらね!」
リリアは怒りに任せてレオンの胸を叩く
勢い余って彼を押し倒してしまった
「怖かったのは……貴方が殺されるんじゃないかって…貴方を、喪うんじゃないかってことよ……」
視界が霞む
それでも耐えて涙は流さなかった
「……心外だな。私が殺される?
私を信じていれば……」
「だからっ、信じることと心配することは違うのよ!」
どんなに信じていても、不安は残る
だって貴方と出逢うその前夜に、私はそれを目の当たりにしているから–––。