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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
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ドドド…
「……っ!」
地面を揺らす音にミゲルはハッと目を開けた
焦ったような表情で空に目を向ける
「……ハァ」
月は眠りにつく前とほぼ変わらない高さにあった
“今の地鳴りは気のせいか……?”
レオンも眠ったままで、森の中は静かなものだ
だがミゲルは経験上、自分の動物的勘を無視しないようにしている
「……」
物音を立てないよう腰を上げ、辿ってきた道の向こうを望む
「……っ!」
遠く–––まだ遥か遠くはあるが、複数の赤い点が揺れるのが見えた
「レオン! リリア!」
すぐに踵を返し、囁き声ながらも出来るだけ鋭く叫ぶ
彼の声にレオンの体がビクリと反応した
「どうした……!」
ミゲルの声は寝惚け眼でいることを許さず一気にレオンを現実へと連れ戻す