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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
だがミゲルはそれを強く責めることはしなかった
’……勝手にしろ’
’本当にいいのか’
’俺はレオンの傍にいる。あいつを苦しめた分、絶対に離れはしない。
そしていつか俺にもっと力がついて、あいつを守りきれるようになったら……その時こそあいつを解放する’
意味は分からなかったが、その覚悟がどこか恐ろしかったのを覚えている
こいつを待つのは、こいつが待っているのは死だけだと。
”ただ一人の為に死ぬか、ただ一人を喪って死ぬか……違いはそれだけだ”
あの日のミゲルの想いを理解し、ようやくそのことに気づく
対して自分は–––
逃げた
裏切った
今となってはそう捉えられるだろう
あの時だって、離れることに躊躇いがなかったわけじゃない
「それでもオレは……」
水平線に近付く月を見つめながら、ポソリと言葉が漏れる