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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
あの日の決断を後悔しない
ミゲルがレオンのために生きたのと同じ分だけ、自分はレオンの夢に生きていたかった
これまでも、そしてこれからも。
お互い、これが今生の別れかもしれないと何度も覚悟してきた
“もしオレが…この海の向こうに新しい陸地を見つけたなら、お前らは喜んでくれるだろ?”
どんなに離れていようと–––
白み始めた空が出発の訪れを告げる
クリスは最後の確認を終え、船へと向かうボートへと足を掛けた
「おいなんだ! 何事だよ!」
背後が俄かに騒がしくなる
出鼻を挫かれたようでムッとしたクリスは、振り向いて文句を言おうと口を開いた
「おい、うるせぇぞお前……ら」
皆の視線の先に、三人の姿を認める
港の見張り番に止められ、あの野郎が何か怒鳴りつけている
幻かと思った
だが野郎を止める黒髪の男は、紛れもなく自分の憧れで。