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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
「まぁ定員にはまだ少し余裕がある。
その代わり、たっぷり働いてもらうぜ?」
「ああ、もちろんだ。礼を言う」
「交渉成立だ。馬から降りろ!」
言いながらレオンの腕にいるリリアに手を伸ばして補助をする
トン、と地に足をついたリリアは、クリストフを見上げ微笑んだ
「ありがとう」
「……ああ」
それ以上何も言わなかったが、彼の目はリリアの髪に留まっていた
「少し無茶をしてしまったわ」
悲しい顔など全く見せない彼女の頭を、クリスはぐしゃぐしゃと掻いた
「オレはその髪も好きだぜ?」
「……!」
「長くても航海の邪魔になるだけだしな」
おい、とレオンが間に割って入る
「近いぞ」
「はいはい……ったく、愛情もほどほどにしてくれよ?」
クリスはくるりと背を向け付いてくるように示す
しかし既にボートは満員で、船長を待っている状態だった