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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
「あーあ、先行っててくれて良かったのに。
すぐに行って戻って来てくれ。まだ待ってる奴らがいるから」
残った船員たちと三人を指しながら船頭役に頷き、ボートはゆっくりと船へ向かう
チッ
聞こえてきた舌打ちに、クリスも舌打ちで返しながら相手の方を見た
「何だよ」
「時間がないんだ。もう……すぐそこまで来てる」
ミゲルは後ろの方を見やり、焦りを隠すことさえしない
「そこまで……?」
最初は訳が分からなかったが、ボートが船に辿り着く頃には港中の人間がそれを認識していた
「そう言ってやるな。匿ってもらうんだから」
「お前は呑気過ぎる!」
馬を駆け、人々の通行などまるでないかのように真っ直ぐこちらに向かってくる集団
舟はようやく半分こちらへ来たところだ
「ファルツの暗殺にしちゃあ随分派手だな」
着飾った男たちを見てクリスものんびりとそんなことを言っている