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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
「あれはファルツじゃない。サラディだ」
「お前……サラディまで敵に回したのかよ」
流石に手に負えないと、クリスは顔を顰める
「クリストフ」
「な、なんだよ」
唐突に愛称を捨てられドキリとした
「リリアを頼む。舟が来たら最初に乗せてやってくれ」
「えっ、やだレオン!」
「……分かった」
レオンを止めようとしたリリアの腕を引き、自分の中に収める
「離して…いや……っ」
びくともしない
泣き出しそうになるリリアの頭上から、クリストフの静かな声が降ってくる
「あいつは自分で起こしたことのけじめをつけようとしてるんだ。
オレたちに頼る以上、オレたちより先に逃げ出すわけには行かねぇだろ」
「だったら私も……!」
「お前はだめだ。人質だからな」
ビクッ
不穏な響きにリリアの動きが止まる
「ひと…じち……?」