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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
“ミゲル……レオンっ!”
複数人相手でも全く動じない二人だが、リリアは不安と恐怖を隠せない
舟に乗せられながらその目は彼らから離れなかった
「ミゲル!」
「…っ……分かった…!」
全員乗り込んだことを横目に確認したレオンに再び命令され、ミゲルは心で舌打ちしながらもそう答える
「ミゲル、どうして……!」
隣に入ったミゲルを責めるようにリリアが迫る
「あいつの目を見ただろう!
あいつは自信家だが、確信のないことにあんな言い方はしない。だから大丈夫だ」
それでも、一人でなんて–––
「おい待て、逃すか……っ!」
追ってきた一人が舟に足を掛けるが、ミゲルに弾き返される
「クリス、出せ!」
「は? お前何言って……」
「良いから出せっ!」
ミゲルの足が岸を蹴り、舟は無理やり港を離れる
「ああ……っ!」
遠ざかるレオンに手を伸ばしても届かない–––