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果てのない海に呑まれて
第48章 果てのない海に呑まれて
“これは少し……”
まずいか、と思った矢先、“あるもの”がレオンの目に飛び込んできた
「フッ……」
自然と口の端が歪む
“神はどこまでも私に甘いな……”
その不敵な笑みに、敵はみな怯えて動きを止めた
それはきっと、ヴィークの–––赤の魔物の最後の姿
「あれは…なんだ……!?」
「まさか……ファルツ家かっ!」
レオンは仲間に存在を示すように剣を高く掲げた
「くそ……っ!」
まんまと罠に引っかかるサラディ家の刺客たち。
慌ててレオンに背を向けると、彼を狙う者同士が対峙する構図が出来上がる
「……」
レオンはそれを見、そして剣を投げ捨てた
これまで抱えてきた全てを投げ捨てるように。
ヴィークに背を向け大海へと飛び込む
船に乗り込もうと梯子に足を掛けていたリリアは、後方で上がった水飛沫に振り返った