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果てのない海に呑まれて
第49章 番外編 光と影



バッと顔が上がると、一気にリズムが変わり激しい舞が始まった

腰をくねらせるその動きは、決して男の情欲を誘うためだけに生まれたものではないはずだ

だが明るい顔に時折写る妖しげな笑みは、男たちを掻き乱すには十分だった



「……」



ミゲルでさえ目を見開き身を乗り出して微動だにしない

しかしヘレーネは、踊りながら彼が他の男と違うことに気付いていた



“見る目が違う……”



それに、微動だにしないのは体そのものだけではない

大抵の男なら少しはアソコを反応させるものだが–––





「……ハァッ!!」



掛け声と共に熱い息が吐き出される

そこで彼女の舞は終わった





「……やっぱり、女は趣味じゃないんじゃないか?」



少しの沈黙の後、ヘレーネがまたその問いを繰り返した



「…女を抱いたことくらいある。男は趣味じゃない。

それより」



ミゲルは立ち上がると、ヘレーネの前に立って首を傾げた

その興味はやはり彼女の身体にあるのではないらしい


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