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果てのない海に呑まれて
第49章 番外編 光と影
「不確かな約束はしない主義だ」
「野暮な男だね」
それがあんたなりの優しさなのかも知れないけど、さ。
実際、ミゲルが彼女の元を訪れるのは年に一、二度のことだった
だからあれは何度目だったか–––少なくとも二度目か、三度目だろう
ヘレーネはいつものように、ベッドに横たわる男の前で自身の踊りを披露していた
「ああ、ヘレーネ……それをされると“突っ込み”たくなる」
「フフッ……あたしがこれをやると皆んながそう言うんだよ」
あいつ以外–––
「ヘレーネ、お客」
「はーい」
そのお客に文字通り突っ込まれた後、湯浴みをして身支度を整えた彼女に声が掛かった
“ハァ……忙しない”
心の中でため息をつきながら、笑顔で控え室を出て行く
「久しぶりだな。元気だったか?」
そんな粋な言葉を口にするのはもちろん–––彼のご主人の方。